会社・法人に関する登記
「これから会社を作りたい」「役員・理事の変更をしたい」「会社の本店や支店を移転したい」「会社を解散したい」といった場合、会社・法人の登記手続が必要です。
会社・法人の登記は、会社や法人に対して取引上重要な事項を登記することによって一般に公開することを義務付け、その会社や法人と取引しようとする人が思わぬ損害を被ることがないように、取引の安全と円滑化を図る制度です。
司法書士は会社の正しい情報を登記することによって、会社の信頼や取引の安全性と円滑化に寄与しています。
手続が必要な場面
会社設立の登記
新しく会社を設立するために
会社の種類には「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4種類があります。
以前からある「有限会社」はそのまま存続しますが、新会社法の下では新たに設立することはできなくなりました。
新たに会社を設立するためには、まず会社設立の企画者である「発起人」が定款を作成して会社の根本的規則を定めます。
そして、この定款について公証人の認証を受けた後、株主となる人に出資してもらい、各役員を定めることで設立登記が可能になります。
役員変更の登記
役員変更に必要な手続
会社の役員が交代したり、再任されたり、代表の役員が住所を異動したときには役員変更登記する必要があります。
役員変更があったときから原則2週間以内に登記をしないと過料を科されてしまうことがありますので期間内に手続してください。
種類株式の発行の登記
メリットを考えた株式の発行
株式の種類
- 剰余金の配当
- 残余財産の分配
- 議決権の行使
- 株式譲渡の制限
- 取得請求権
- 取得条項
- 全部取得条項
- 拒否権
複数の種類株式を発行することにより経営の安定化を図ったり、資本の調達を容易にするなどのメリットがあります。
企業再編の登記
企業再編による合併や株式の手続
会社法上の組織再編には、合併(吸収合併・新設合併)、会社分割(吸収分割・新設分割)、株式交換・株式移転などの種類があります。
企業再編をおこなう場合それぞれ登記の手続とスケジュール策定上の留意点が異なります。
- 吸収合併
- 会社が他の会社と合併し、合併後存続する会社が消滅する会社の権利義務の全部を承継します。
- 新設合併
- 今ある会社が全部消滅し、消滅する会社の権利義務の全部を合併により新たに設立する会社に承継させるものをいいます。
- 会社分割
- 1つ又は2つ以上の株式会社又は合同会社が、その事業に関する権利の一部を分割して他の会社に承継させることをいいます。
事業の一部を既存の会社に承継させることを吸収分割といい、新たに設立する会社に承継させることを新設分割といいます。 - 株式交換・株式移転
- 会社間の完全な親子関係を創設するための手続です。
株式交換は、完全子会社となる会社の発行済株式の全部を既存の完全親会社となる会社に取得させることをいいます。
株式移転は、完全子会社となる会社の発行済株式の全部を新たに設立する会社に取得させることをいいます。
新株予約権の発行の登記
株式の交付を受ける
新株予約権とは、権利者が予め定められた期間内に予め定められた価額を会社に払い込むことにより、当該株式会社から一定数の株式の交付を受けることができる権利のことをいいます。
特に会社の取締役や従業員などに対して割り当てるものをストックオプションといい、企業価値向上への貢献意欲や士気を高めることを目的として利用されています。新株予約権を発行した時には、新株予約権の内容を登記する必要があります。
解散・清算の登記
企業解散後の清算結了
株主総会の決議や破産手続開始の決定、解散を命ずる判決など一定の事由が発生したとき企業は解散することになります。
企業は解散してもすぐに消えてしまうのではありません。
まずは清算手続をする企業になり、営業はおこなわずにこれまでに残った売掛金などの債権については回収し、借り入れなどの債務については返済するといった残務処理のみをおこないます。
全ての残務処理が完了したら清算結了という登記をし、これにより完全に企業がなくなります。